県東部一の規模を持つ沼津魚市場。水揚げ品を扱う産地市場として、また、陸送で各地から集荷される品もセリに掛ける消費市場を併せ持ち、首都圏や山梨県からも買い付けに訪れるなど商圏が広いことで知られる東部の台所。
魚種も豊富な日本一の深海湾、駿河湾の恩恵を受けて夜明け前から市場は活気に満ち溢れ、大衆魚から幻と言われる高級魚まで続々と揚がっている。
冷凍設備や加工技術の発達で、いつ取れたものでも保存が利くため旬がなくなりつつある現在だが、旬を迎えた新鮮な魚が地元小売店に並び、食卓に季節感と彩りを添えるのも同市場あってのもの。
取れたての味覚が味わえる産地ならではの旬の魚。今の季節。こんな魚を堪能してみては。
▽太刀魚=春先くらいにまでがおいしい。銀箔を貼ったような張りのあるものなら刺身が一番。くせのない魚ながら塩焼き、ムニエルなどシンプルな調理で十分だが、沼津の特産の醤油干しも。
▽ヤリイカ=生きのいいものならば刺身。細切りにしたものはツルンとした喉ごしと甘みが楽しめる。
▽赤ナマコ=正月用に人気の品。今月いっぱいまで。酒の肴として、そろそろ出始めたウドをあしらい、二杯酢か三杯酢で。
▽カサゴ=小ぶりなものは丸ごとから揚げ(二度揚げ)にし、ポン酢か天つゆに大根おろしを添えて、あつあつのうちに丸ごと。アサツキの小口切りをちらすと、ちょっとしたご馳走になる。
▽真サバ、ゴマサバ=近年、真サバの漁獲量が減ってきている。
秋サバが有名だが、産卵を終えたばかりの夏は味が落ち、秋になるとようやく脂がのっておいしくなることをいい、春先まで十分楽しめる。
しょうがや酒を加減しながら青身魚独特の臭みを取り、こってりと煮付けや味噌煮に。ゆでたサバの小骨を抜き、醤油、砂糖、塩など入れて炒ったおぼろも庶民の味。
特に鮮度の良い物を求め三枚におろし、強めに塩を振って酢で洗い、背の小骨を抜いてから、甘酢へ漬け込む。背の薄皮をひいてしょうが醤油で味わう「自家製しめサバ」は、まさに我が家の味。
このほか、見た目もさることながら、もっちりとした甘味を特色とする手長エビ、ボタンエビなども水揚げされ、地元のフランス、イタリア料理店でも人気を呼んでいるという。
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