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企業が運営する社会福祉施設がオープン

 日吉の有料老人ホームのシニアハウス青空が小諏訪に移転。併せてグループホーム、デイサービスの高齢者福祉機能を備えるとともに、保育園も開設し幼老施設として再スタートを切った。高齢者施設では、すでに入居が始まり、保育園が開所。施設の特徴は、社会福祉法人ではなく有限会社が運営する点。保育園は行政からの認可も受けており、企業が経営する保育園という例のない形態を取る。
 日吉の施設は、有限会社ひよこ(大谷貴美子社長)が、旧医院の建物を利用して開所した。それ以前から、高島町で保育園のひよこを運営し、福祉分野での取り組みは行っていたが、高齢者福祉は初めてだった。
 大谷社長自身、同施設を開所する三年前に母親を看取ったが、それまでの七年間、入院生活を続けた母親は兄弟が代わる代わる毎日、面倒を見たという。
 この経験が、「自分達は、それが出来たからいいが、お年寄りを抱えて苦労している知人もいる。介護疲れもあるし、急な外出もある。老人介護で、いつでも気軽に利用出来る、そんな場所があれば」との思いを抱かせ、シニアハウスの開設に至った。
 有料の老人ホームと、ショートステイ、デイサービス機能を備えた施設だったが、当初から同所では五年程度の運営を考えていたといい、小諏訪の現在地を借地出来ることになり、新築移転し規模も拡大し、幼老併合の施設として新たなスタートを切ることになった。
 新施設は、高齢者関係は、いずれも介護保険対応で、特定施設入所者生活介護適応施設の有料老人ホーム・シニアハウス青空(定員十八人)、痴呆対応型共同生活介護適応施設のグループホーム青空(九人)、通所介護適応デイサービスセンターのデイサービス青空(二十九人)。
 二階建て施設のうち、二階フロアがシニアハウス、一階にグループホームとデイサービスセンターを備える。浴室は、デイサービス用の浴室、入居者用の浴室があり、座ったまま、寝たままで入浴出来る機械浴室もある。
 グループホームの占有部分は、九人を一ユニットとする二ユニット分の広さがある。運営者側では二ユニットを考えていたが、行政基準に沿って一ユニットにしたため、余裕あるスペースとなった。
 一方、乳幼児施設として青空保育園(定員六十人)。従来運営してきたひよことは別に開園する。保護者の負担を考え、行政からの補助を受けられるよう認可保育園として申請していたが、正式に認可が下りた。事業所運営による保育園となる。
 保育室の横にある園庭は、南欧の中庭パティオ風。中央にはモニュメントが据えられたが、耐震性や、ぶつかってもけがをしないように材質に配慮した。
 お年寄りにとっては、グループホームやデイサービスセンターからガラス窓越しに園児達を見ることも出来、施設側では園児と高齢者の交流にも活用したいという。
 施設建設に行政からの補助金は一切受けておらず、従来の福祉施設とは趣を異にし、PFI(民間自業者の資金と経営ノウハウで実施する行政手法)の観点からも注目される。
 さらに、施設には地域交流室も配置。職員の事例研究などで利用するほか、家庭での高齢者介護で困り事があれば、相談に乗る部屋としても使っていきたいといい、大谷社長は、「地域に開かれたオープンな施設にしていきたい」と話している。
 一方、施設建設にあたっては、大谷社長の実兄の大谷勝男専務が、定年まで勤めた前職が高齢者施設建設に関係する職場だったことから、この時の経験が生かされた。
 大谷専務は、「現在九十六歳の入居者がいるが、ゼロ歳児から百歳のお年寄りまでがいる施設を目指したい。そして介護には何よりも、心によるケアが大切。こちらがよかれと思う対応でも、相手は嫌な場合もある。入居者が『ノー』を言える施設を考えたい。それがスタッフの勉強にもなる」と今後の施設づくりについて語っている。
 同施設についての問い合わせは青空(電話九二六−九六〇〇)。

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