15年は統一地方選が行われる。また、場合によっては総選挙も予想されるが、この数年来の市民、国民の政治や選挙に対する関心は、盛り上がりに欠けるところがある。欠けるどころか、国民主権、代議制民主主義を制度としている国にとっては危機的とも言え、このほど行われた衆参の統一補選の低投票率は今後に憂いを残す結果となった。こうした状況を捉え、「政治に物言おう」「沼津を投票率日本一に」と呼び掛けるホームページが立ち上がった。当面は、市議選、県議選での投票率アップを目指し、市民に働き掛けたいという。
ホームページは、“やっぱり選挙に行こう”推進ホームページ『書くべぇ自思』(かくべえじし)。政治や選挙への自分の思いや考えを書こうというもので、市内出身で現在は千葉県に住む小川匡さんが立ち上げた。
小川さんはトップページで、「私たちがまちづくりを考えるとき、一生懸命やればやるほど、改めてその無力を痛感します。しかし、それでも諦めず何か出来ることをしようとするならば、今あるものや制度をもっと活用することがひとつの方法です。この企画もそんな出来ることのひとつでした」との思いを述べる。
その上で、「投票率や日本一などの数字は結果として目に見えるから判り易い、しかし、それはあくまでもひとつの目標です。実際投票率が70%とか80%とかになれば、黙っていても人は考えるはずです。当選した議員さんも考えるはずです」との期待を表明。
たとえ白票であっても、それは投票したい(議員になってほしい)候補者がいないという意思表示であり、高い投票率の中で白票が多ければ、それも意義があることだとして、「投票という行為には、投票に行きさえすれば何から何まで意味があります」と投票行為を求めるとともに、賛同者による自由な活用を呼び掛けている。
ホームページは、自由な投稿が出来る「『書くべぇ自思』の掲示板へ」をはじめ、「県知事選挙で投票所別投票率」「パートナー型まちづくりってなに」「パートナー型まちづくりをめざして」の四つのメニューから成り、参考に県選挙管理委員会、沼津まちづくり根っこわーくのホームページが掲載されている。
このうち、掲示板には、呼び掛けに対する書き込みが記入され始め、選挙や民主主義についての意見のほか、鉄道高架や広域都市合併に対する意見も見られる。また、市会議員に対するアンケート調査を計画。ページ閲覧者に質問項目を募集した結果をまとめた十八項目が記載されている。
また、自治基本条例については詳細な説明が加えられている。
それによれば、この条例は、計画行政の前提となる理念とルールを明示するもので、市民をまちづくりの主役に据え、市民参加の仕組みや、市民の権利・責任などを定めるのが特徴。「自治体の憲法」とも言われ、北海道ニセコ町が全国で初めて施行。東京都の市や特別区で制定作業が進められているという。
ホームページでは、こうした情報も提供しながら、市民の意見を募っている。
このページに参加する女性は、「一人でも多くの人に、このページの存在を知ってもらいたい。当面は統一地方選での投票率アップということになるが、その先には国政選挙もある。このページに多くの人に参加してもらい、選挙や政治への関心が高まればと思う。そのためには、アンケートに答えるなど議員の人達にも参加してもらいたい」と話す。
ただ、今後に残された課題は大きい。パソコンが普及してきているとは言っても、有権者の中でインターネットやホームページを身近に捉えることが出来る人が、どれだけいるかということや、匿名性が確保出来るのかということ、逆に匿名性が守られると無責任な批判や言いっ放しの意見が増えるのではないかという心配もある。
自分の意見を表現する手段としてだけで利用されるなら、自己満足に終わってしまうし、参加した人のエネルギーをどのように集め、どういう形で表現したり、具体化したりしていくのか。
目指すところは、市民、国民として考えざるを得ないところに置かれているだけに、次の段階の準備を考えていく必要も出てきそうだ。
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