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鉄道高架事業に橋上駅の対案

 沼津駅高架事業を柱とした沼津駅周辺総合整備事業計画に疑問を抱く市民グループ(仮称)沼津駅周辺のあり方研究会(稲川千尋代表)は、都市計画決定を待つ鉄道高架案に代わる案を発表した。同グループは、「安い費用で、早く出来、どこからでも着工出来る」と沼津駅周辺の都市整備案を訴えている。
 会見の席上、稲川代表は「鉄道を高架するために、貨物ヤードと車両基地を移転するという莫大な事業費が掛かる、ばかげた公共事業は前代未聞」と、対案づくりのきっかけを話した。
 また、「高架化がいかに不経済で非効率かを実証するために、鉄道路線は現状のままとし、出来るだけ高架化案と同等の効果と利便性を確保することを考えながら、都市計画や建設畑に携わる公務員などを中心に図を描き、積算したもの」だと述べた。
 同案は鉄道高架や高架化に必要とされる車両基地と貨物駅の移転はせず、駅舎は南北をつなぐ二本の自由通路と一体化した橋上駅にする。また、南口駅前広場を人工地盤として南北自由通路と結び、人工地盤の上は公園広場となり、その下はバスターミナルとして利用、上下をエスカレーターとエレベーターでつなぐ。
 さらに、現在の西武百貨店本館と桃中軒ビルの敷地を買収出来れば、人工地盤はさらに広げられ、地下道を通らずに南の西武新館側の敷地に降りることが出来、歩行者の快適空間が実現出来るとしている。
 南北交通対策としては、中央ガードは当局が示す暫定整備案の二車線ではなく四車線として暫定案同様に上本通りと直結、三ツ目ガードは屈曲部を緩やかにする二車線を計画している。
 稲川代表は、人工地盤でビルや埼玉スタジアムをつないでいる、さいたま新都心駅を例に挙げ、「車と人との分離を図り、安全で回遊性のあるまちづくりを考えなければならない」とした。
 事業費を見ると、橋上駅舎、南北自由通路、人工地盤等整備費一一〇・八億円、三ツ目・中央ガード改良整備費九二・五億円、駅北七通り線と南口駅前市道改良事業費四九・九億円、北口鉄道跡地と北口広場西側街区整備費二三四・三億円、南口再開発ビルと西武本館、桃中軒ビル用地買収を含む南口広場整備費一八一・三億円で合計六六八・八億円となっている。
 沼津駅周辺総合整備事業費、当局案一八二三億円と比べて約三七%、事業期間も七年と、当局案の三十年を大きく下回る。稲川代表は、「高橋川放水路の新設、沼川、新中川の改修、ファイブエントランスの整備、高齢者介護施設整備、東海地震対策など、これからの沼津市には、やらなければならないことがいっぱいある。鉄道の高架化どころではない」と話す。
 県職員として都市計画課に長い間在籍した経歴の稲川代表は、「三ツ目ガードの整備は昭和六十年頃、予備調査まで入っていたが、高架計画があったため潰れた。中央ガードの暫定整備案も高架となれば二重投資となる」と沼津の発展を妨げた元凶は「高架化」だと指摘した。
 また、のぼり道ガード建設時、フジクラ前の開かずの踏切問題を解消するため、市当局は高架化計画申請を取り下げた経緯も明らかにしたが、同ガードも高架されれば二重投資となる。
 稲川代表は、「我々の対案を見ていただき、当局案と比較対照して判断してもらえれば」と市民に訴える。また、「シンクタンクとして技術や情報を提供したい」と当局との話し合いを期待している。
 財政難の市当局にとって当局案の利便性と遜色ない対案が、市負担一七一億円(当局案では六五八億円)で実現するとなれば、一考の余地はあるのではないか。

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